人と地域・企業の関係が育つ『余白』ヤマガタユアターンサミット2025 開催レポート
2025年12月7日(日)に、移住・交流情報ガーデンで「ヤマガタユアターンサミット」を開催しました。
学生・社会人が「自分らしい山形と関わるアクション」に繋げて、今後のキャリア(働くを含めた人生そのもの)に山形が入り得るようにするための通年の取り組みの1つで、2013年から毎年開催してきました。コロナ渦を経て、6年ぶりの開催となりました。


イベント開催の背景
ヤマガタユアターンサミットは、首都圏在住者の『納得いく「山形と関わるキャリア」選択』を応援し、自分らしい山形との関わるアクション』を起こす人が増えることを目指すイベントです。
年1回のお祭りのような雰囲気で、硬い説明会ではなく「参加者とゲスト」「参加者同士」が対話するのがメインで、上下関係なしで山形へのアクションを後押しします。

山形へのUターン就転職は、最終的に「覚悟」が必要です。しかし、SNSやネット情報などの「二次情報」だけでは不安や迷いが拭いきれず本人が「覚悟を持つ」のはなかなか難しい。ですが、人に会って話を聞く・体験するなど、自分の目や耳で得た「一次情報」は、より新鮮で思考の材料になりやすく、覚悟を持った意思決定を後押しします。実際に人と関わり対話することでその企業・地域ならではの価値観や空気感が伝わり、受け止め方の変化が起こりやすくなります。
「自分の目や耳で得た一次情報が得られる対話の機会(関わりしろ)」が「山形で働くこと」の意欲・覚悟を育みます。
※関わりしろ:企業や地域と自分らしく関われる余白や入り口のこと

山形の企業が選ばれにくい背景には、給与水準や職種の選択肢など、構造的な課題も確かにあります。
私たちもその改善努力は不可欠だと考えています。
一方で、最終的に「ここで働けるかどうか」を決める局面では、条件以上にその職場・地域で安心して働けるかが問われます。その判断材料になるのが、実際に働く人の空気感や価値観、つまり人との関係性です。
だからこそ、これからの採用では「応募・選考の中だけで関係性を見せる」のではなく、応募前から、働く人と接点を持てる状態をつくる必要があると考えています。
私たちは、情報発信していく際には、「二次情報→一次情報が得られる場に来てもらい対話する」までにつなげていくことを意識して設計しています。

「参加者が一次情報が得られる対話」ができる「関わりしろ」を県外から作ろうと長年続けているのが、ヤマガタユアターンサミットです。
ナナメの関係で対話して、人間関係を作り、主体的に気づく機会を作る
イベントは、たくさんの「対話」が生まれるように場を設計しました。

「YOUR TURNブース」では、企業の採用担当の方、二拠点生活を実践している方、コミュニティを運営している方など、様々な形で「山形」に関わる先輩が集まりゲストブースを出展し、参加者と対話。

対話が生まれるやすくするために、各ブースでは立ち止まってもらう、会話のきっかけとしてゲストと参加者が一緒に「山形のミライを作るワークショップ」という簡易的なワークショップを実施。

参加者の方に「地域との関わり方」のイメージを持ってもらうために、株式会社ソトコト代表取締役 『ソトコト』編集長、一般社団法人日本関係人口協会理事の指出一正さんにトークセッションでお話して頂きました。
トークセッションでは、関係人口とは「交流人口と定住人口のあいだにある1〜99のグラデーション」を含む広い概念であり、移住や就転職を二択で迫らず“曖昧さ”を許容することが、関わりの入口を広げる鍵だと語られました。
「なんか良い」「好き」といった言語化しにくい感覚を大切にしながら、二拠点生活、農家支援、芸術祭への参加など、自分らしい関わり方から始めていい。そうした小さな一歩の積み重ねが、やがて移住やUターン就転職といった大きな意思決定へもつながっていきます。山形への関与は「人・場・食」などのチャンネル(つながり)を増やすことから始まり、現地で気になったことを帰宅後に調べ、次の訪問へつなげる“復習型”の関わりが大きな力になります。採用・地域施策の視点でも、応募や移住相談の前段階にある「関わりしろ」を対話でひらき、関係を育てる土壌を増やしていく重要性が示されました。

その後、会場にいる全員が混ざってのごちゃ混ぜグループトーク。

更にイベント終了時間まで各ブースでの対話が続きました。

運営コンセプトは「共創」
当社が大切にしている価値観として「共創」があります。
今回、イベント会場の件で山形県東京事務所様に相談したところ、会場の手配に協力して頂きました。
ご協力が無ければイベントの開催は成し得なかったといっても過言ではないくらいです。
おかげ様で、多くの参加者&イベント出展者が対話する機会を作ることが出来ました。本当にありがとうございました。
また、ブース出展者の皆様には、通常の合説とは違う場として認識して頂き、参加者と対話して頂けるように、場の雰囲気を共有してイベントに臨みました。

イベント参加者
◎来場者数:47人
◎年代等の内訳
〜10代:2人
20代:10人
30代:13人
40代:11人
50代:9人
60代以上:2人
◎イベント満足度

◎気持ちの変化

多い順に「安心感を持てた」「関係人口・移住などの具体的なイメージが湧いた」「山形県との心の距離が縮まった」「山形の地域に向かう自分の気持ちを肯定できた」
◎今後の山形と関わるアクション

多い順に「今日話をしたゲストブースの人に会いに行きたい」「自分のプロジェクトを構想・情報収集・準備をはじめたい」「移住・就職・転職の情報収集をはじめたい」
◎イベント参加者の感想
「定期的に開催してほしい。魅力発見のカギになると感じるため」(20代)
「今日出会った人、企業さんなどと今後も関係を作ってコミュニティを広げていきたいと思いました。」(30代)
「なんとなくできましたが、参加してすごく良かったです!」(30代)
「多くのゲストと話をできる時間を設けていただいたのが良かった」(40代)
「今後のプラン形成のために、このようなイベントは非常に役立っています。ありがとうございます。」(50代)
ブース出展者
◎ブース出展者の感想

◎上記のように答えた理由
「私自身も東京で働き始めた頃「山形に関わりたいけど何をして良いかわからない」時期があったので、同じような方にアドバイスできてよかった」
「多くの方に出会えた」
「山形やUターンに興味を持って来ている人が多いだけに、いろんなジャンルの人とお話をすることができた。こちらの事を一方的に伝えるだけではなく、普通の会話を通して接することができるという点は、今まで経験したことがない新鮮さだった。」
「全体的に自由度が高くも一体感を感じられた」
「移住を現実的に考えている方からゆくゆく考えてる方まで様々な層の方が集まることで、山形とのかかわり方、ニースがどこにあるかを知るきっかけとなりました。」
「たくさんの方に私たちのことを知ってもらうきっかけになったから。」
「首都圏在住で、山形県ゆかりの方々がどのように地元とつながりたいと考えているのか、現在、どのように関わってくれているのか等を直接聞く貴重な機会になったから。」

◎上記のように答えた理由
「色々なモチベーションの参加者にお会いできたことに加え、出店者同士の出会いもあったのが有意義だった」
「場所・時間も適切だったと思います。」
「会話のきっかけとしてわかりやすいものだった。(これに沿って何かをしたかというとそうでもなかったが、それはそれでよいと思う)」
「通常のブース展示よりも参加者の主体性が感じられた」
「節目をテーマに今自分が思っていることを言語化しただけでもスッキリされた方もおられ、話を引き出す良いきっかけが生まれました。提案いただきありがとうございました。」
「息つく間も無いくらいブースに来場者が来て、たくさんの人と話すことができた。」
「ブースを出したことにより、来場者の方々の声を聴かせてもらうきっかけになったから。 (当ブースとしては来場者の関心のあること等を聞き出すのに時間を要してしまい、うまくワークショップという機会を活かしきれなかったという反省点があります。)」
「ふるさと納税について知らないという方が多く、その説明から行えたことがとても良かったと思います。さらに山形に関心のある方が多かったので、そこから具体的な返礼品のお話に繋げられました。」
「参加者が山形に対して興味が高く情報交換できる楽しさがあった。出展者同士での情報交換も有意義だった。」

◎上記のように答えた理由
「短い時間ながら興味深い内容だった」
「もう少し時間が長くても良かった気がします」
「皆さんが心のどこかで引っかかっている、移住やUターンへの大事(おおごと)感が少し緩和された気がした。」
「東京での地域発信において、ヒントになる概念や言葉をたくさんいただけた」
「なんとなくかかわることが”つながる”枠を狭めないという事に共感しました。また、地方にかかわってもらうという視点だけではなく、地方の人間も情報が集約される地域にかかわっていく視点も大事だと思いました。」
「また指出さんのお話を聞いてみたいと思いましたし、トークの中で「なんか」というキーワードが共感できて嬉しかった。」
「出展者側も指出さんのお話から気づきを得ることができ、また来場者の方々も、自分と山形との関わり方をあらためて考えるきっかけになったと思うから。」
「グレーゾーンという認識を持っていなかったので新たな発見でした。」
「トークセッションが今ホットな話題の関係人口の内容で興味深かった。指出さんにお会いできてうれしかった。」

◎上記のように答えた理由
「興味のあるブースに移動できる時間があればよりよかったと思う」
「初めての方とお話するため、話が盛り上がるまで時間がかかった」
「少し取っ掛かりに手間取った。人数が多くなりすぎたため、自己紹介で終わってしまった。」
「出店者の方、参加者の方とフラットに深いお話ができたため」
「様々な背景や良い点、悩みなどをざっくばらんに共有することで、それぞれが持っている情報を伝え合うことにつながり大変有意義な時間となりました。その後のワークショップがよりフランクになりました。」
「テーマも無く、時間も短かったのであまり深く話はできなかったが、どんな方が参加されているのか知ることができた。」
「まだブースに来ていただいていなかった方とも、話をする機会ができたから。 (事前に各グループでの進行の仕方について、各ブース出展者間で共有できているともう少し各グループでの話の内容に深まりが出たかもしれません。)」
「様々な角度で山形に関心がある方と交流をし、それぞれ様々な事情を抱えていることもわかりました。連絡先交換などもできて今後につながる縁を作ることができました。」
「私は個別の相談があって対応しており参加できませんでした。他のメンバーが参加し、よい雰囲気で交流できたとのことです。」
5・今日イベントに参加したことでの気持ちの変化としてあてはまるものを教えてください。

多い順に「参加者の個人的なストーリーや背景を聞き出そうと、意識して対話することができた。」「首都圏在住者が持つ「山形での仕事や暮らしに対する期待と懸念」を、より深く理解できた。」「参加者に対し、「採用」以外の多様な山形との関わり方(副業兼業的なプロジェクト、二拠点、コミュニティなど)を提示できたと実感している。」でした。
6・今日の参加者との対話を踏まえ、今後どんなアクションを起こしたいと思いますか?

多い順に「イベント参加者との関係が途切れないよう、継続的な情報発信や交流の仕組みを構築したい。」「参加者のニーズに合わせた、自社(自身の活動)の新たな魅力・提供価値を発掘したい。」「ゆくゆく山形byヤマガタ未来ラボなどのコミュニティ活動に、今後も積極的に参加・協力していきたい。」という声でした。
イベントを振り返って
ヤマガタユアターンサミットは、首都圏在住者の「納得いく山形と関わるキャリア選択」を応援するためのイベントです。
私たちがこの取り組みを続けている理由は、会社のビジョンである「納得いくキャリア選択を増やす」ことに直結しているからです。
人が自然と集まり、続いていく企業や地域には共通点があります。
それは、一人ひとりが「自分の人生、これでいい」と思える選択ができること。納得した選択が積み重なることで、人と地域・企業の関係が育ち、その関係性が存続や繁栄につながっていくと私たちは考えています。
一方で現実には、県内の企業・地域と、県外在住者のあいだには「興味はあるのに、つながらない」という断絶があります。
両者とも関心あるはあるんです。ですが、県外在住者はいきなり求人応募や移住相談には至りません。山形が気になる気持ち(ニーズ種)が芽生えても、人生の転機は限られていて、そのまま時間切れになってしまう・迷っている間に選択肢から山形が外れてしまうことも少なくありません。私たちはその状況を少しでも減らしたいと思っています。
また、SNSや求人などの二次情報だけでは、不安や迷いを拭いきれず、「覚悟を持つ」ことは難しいと感じています。
だからこそ必要なのが、人と出会い、対話し、自分の目と耳で一次情報を得る機会です。実際に関わることで空気感や価値観が伝わり、意思決定の前提となる安心感が育っていきます。
ヤマガタユアターンサミットは、そのための「関わりしろ」を県外にひらく取り組みです。
私たちが大切にしているのは、何かを決めさせることではなく、ナナメの関係で対話し、人間関係をつくり、参加者自身が主体的に気づく場をつくること(&ブース出展者も同じです)。
「対話できる」ということは「余白がある」ということ。
個人と地域・企業が無理なく関係を育てることができるのは、余白があるからこそ。
この“余白を持った関わり”こそが、地域・企業・個人のそれぞれにとって無理のない形で未来につながり、最終的には「納得いく選択」を生み出すと信じています。


